2005年7月25日

先日、ニュンフェンブルグ城近くの水路沿いの道でジョギングをしていたら、近くの食堂の壁に写真入りのポスターが貼ってあり、住民が「水路の汚染のために、うなぎが8匹死んでいました」と水質汚濁に抗議していました。

また別の場所には、動物愛護団体のポスターが貼られてあり、「ルーマニアでは野犬たちが、コールタールをかけられて焼き殺されたり、手足を斧で切られたりしています。救いの手を差し伸べましょう」と書かれていました。

私はこれらのポスターを見て、過去60年間でドイツ人の命に対する考え方が大きく変わったことを、つくづく感じました。

つい60年前までは、アウシュビッツやマイダネク、トレブリンカなどに人を殺すための工場を作り、ヨーロッパのユダヤ人の半分近い600万人を殺害したり、安楽死と称して体の不自由な人々を殺したりしていたのに、今では動物の命にさえ、これだけ強い関心を示すようになったのです。

戦後の西ドイツの反戦運動の盛り上がりは、ナチスの時代への強い反発の表われでもあります。ドイツに住む外国人として、ドイツ人たちがこのように変わったことは、良かったと思います。

しかしユーゴスラビア崩壊後の惨劇のように、人間の獣性というものは、ちょっとした弾みで外に現われてしまうようですから、注意が必要です。